約 8万(※) の漢字に対し、中国語は410個の発音に加え、四声という声調の組み合わせで構成されます。 この410個の発音は上記「全発音410」音節表という一覧で表現され、難しい中国語の発音を口形の動画を見ながら練習できます。

(※) 1994年出版の「中華字海」で中国語漢字が8万5568字が収録されている。

[PinYin](ピンイン)
漢字の発音を表すのに、日本では、漢字の横に仮名でルビをふるが、中国ではローマ字で発音を表記し、これをPinYinと呼ぶ。 外国人が中国語を勉強する際に使用するだけではなく、中国の小学生もPinYinから学びはじめる。 ただ、ローマ字とはいっても、独特のきまりがあるので注意が必要。

[声調]
中国語の一つ一つの音節には、高低・上げ下げの調子がつき、これを「声調」という。声調には4種の調子があり、これを”四声”という。 その記号は、”―”(第一声)、”/”(第二声)、”∨”(第三声)、”\”(第四声)である。

[声調記号の付け方]
① 一つの音節に母音がひとつだけの場合、声調記号は母音の上に付けます。
 例:má、dī、lè
② もし二つかまたは二つ以上の母音がある場合には、声調は“a、o、e、i、 u、ü”の順序に従って、先に来る母音の上に声調を付けます。
 例:què、pǎo、qiǎng
③ “i”の上に声調記号を付けるときは、“i”の上の点を取ります。
 例:jīn、bíng、cí
④ “i”と“u”が一緒になったときは、声調記号は後者の上に付けます。
 例:kuí、 jiǔ

[声調の機能]
中国語は同じ発音の音節にしても、声調によって意味を区別している。
 例:
  āi(哀)「悲しみ」
  ái(癌)「癌」
  ǎi(矮)「低い」
  ài(爱)「愛する」

[軽声] 中国語の中には、本来の声調と違って、短く軽く発音する「軽声」と言うものがある。軽声は声調記号をつけない。
 例:
  xiè xie(谢谢)「ありがとう」
  hǎo de (好的)「OKです」

[変調]
いくつかの音節が続けて発音されるとき、或いはその後ろの音調によって、往々にして声調に変化が起こる。
① 二つの第三声が続いたとき、前にある第三声は第二声に変わる。
 例:hǎo jiǔ(好酒)「美味しいお酒」→ háo jiǔ
② ”不”の本来の声調は第四声だが、後ろに第四声の音節がきた場合には、第二声に変わる。
 例:bù qù → bú qù(不去)「行かない」
③ ”一”の声調変化は、第四声または第四声から転じた軽声の音節が後にきたときには第二声に変わり、第一声、第二声、第三声の音節がきたときには第四声に変わる。
 例:
  yī jiàn → yí jiàn(一件)「一件」
  yī tiān → yì tiān(一天)「一日」
  yī nián → yì nián(一年)「一年間」
  yī qǐ → yì qǐ (一起)「一緒に」

[PinYin表記法の独特のきまり]
① i,u,ü 単独で音節となる場合は、yi,wu,yuと表記する。
② i,u,ü で始まる複合母音が単独で音節となる場合は、次のように表記する。
 ia → ya ie → ye iao → yao iou → you
 ua → wa uo → wo uai → wai uei → wei
 in → yin ing → ying ian → yan
 iang → yang iong → yong
 uan → wan uang → wang uen → wen ueng → weng
 üe → yue üan → yuan ün → yun

③ j,q,x の後ろの ü は、u に変わる。
 jü → ju qü → qu xü → xu

④表記から消えるoとe
 iouの前に子音がつくとき、中央のoが弱くなるため、表記から消える。
 例:
  diou → diu jiou → jiu
  ueiとuenの前に子音がつくとき、中央のeが弱くなるため、表記から消える。
 例:
  tuei → tui huei → hui
  kuen → kun cuen → cun

⑤「-i」が、z,c,sの後ろに付いた時の音を舌尖前音(舌歯音)と言い、zh,ch,sh,rの後ろに付いた時の音を舌尖後音(捲舌音)と言う。 そのため、zi,ci,siまたはzhi,chi,shi,riを発音するとき、「-i」の音は「i」の音と異なるので注意すること。

[儿化]
中国語では、多くの単語の語尾が儿化し、ローマ字で書く場合には「-r」で表し、音節の最後に置く。
 例:
  huār(花儿)
  wánr(玩儿)

[無気音と有気音]
中国語の子音には、清音と濁音の区別はない。かわりに発音するときに息を抑える「無気音」と、息を強く出す「有気音」の区別がある。 日本人にはなじみがないので、意識的にはっきりと区別して発音すること。